大学に合格した生徒さんから「もういらないから」と受験生時代の日記をもらいました。
なんでも、勉強に行き詰まった時にグチ代わりにつらつらと書いていたものだそうで、まぁ読んでてこっちも落ち込むぐらい負のスパイラルに陥ってる様子が書き連ねてありました。

彼は理系なんですが、なぜか数学がダメだったんですね。好きなのにできないんです。ただ私もこれと似たような経験があったので、1日入試問題4題をノルマとして与え続け「継続して努力していれば、数学ってのはある日突然できるようになるから。絶対その日が来るから！」と言い続けて来た生徒さんでした。

さてこの日記ですが、10月のある日「やっぱり数学できないじゃん。もうダメかも」とありました。そしてそれが日記の最後だったんです。10月といえばそろそろ学力も固まってきて、ここでダメなら進路の変更も考えるべき時期です。理系ならメイン教科の数学ができないとなると文系への転換も…というつらい時なんですね。日記が途切れた彼にいったい何が起こったのか。自暴自棄になったのか。志望校を変えたことでどうでもよくなったのか…。

いえ、彼にはついに「その日」が訪れたんです。私が与えた中のある1題を納得行くまで2ヵ月も徹底攻略し、その1題がわかった瞬間にすべての分野がつながって突然できるようになったため、もう日記なんてどうでもよくなったそうです。結果、彼は1段階上のレベルの国立大に合格しました。今は家庭教師のバイトをしながら「いつか必ずできる日が来る！」と教え子に言い続けているそうです。

「だったらこの日記持っとけよ。より説得力出るだろ」
「あそっか。返してください」